尿検査の結果について

尿中白血球

細菌などが原因で感染・炎症などが起きている場合に出ます。

膀胱炎症状などがあれば治療が必要です。

ただし女性の場合、帯下などが混在して白血球が増える場合もあります。

尿中赤血球

尿路の障害などで検出されます。

尿中赤血球が出ている場合、どこから出血しているかを検討するため、「変形しているか」をチェックします。

変形していれば主に腎臓、変形していなければ主に膀胱や尿管などからの出血を疑います。

腎臓からの出血の場合はタンパク尿が出ているか、膀胱や尿管からの出血の場合は悪性の病気や結石の可能性の検討が必要です。

扁平上皮細胞

結論から申し上げますと、少量であったり、症状がないときはあまり気にする必要がありません。

尿道周辺に何らかの異常所見があると観察されることが多いです。

  • 尿道炎
  • 尿道結石症
  • 尿道の物理的損傷
  • 前立腺癌の治療中(エストロゲン、放射線治療中など)

一方でエストロゲンと呼ばれる女性のホルモンの影響を受けたり、外陰部・膣部の扁平上皮が混入することもあるので、女性の場合、異常がなくても比較的良く見られます。

対応方法としては無症状が無かったり、少量の場合は経過観察でよいです。

一方で、排尿時の痛みなどの症状がある場合は、感染などが背景にある可能性があり、その際は抗生物質などで治療を行うときもあります。

細菌

細菌が尿に検出された場合は症状の有無で今後の判断をします。

症状があれば尿路感染などを考えて検査・治療を検討します。

一方で症状がなければ無症候性細菌として経過観察でよいです。

無症候性細菌尿とは、何の症状も認められないにも関わらず、普段は認めない細菌が尿中に認められる状態です。

通常、尿は無菌ですが時折尿から細菌が検出される患者様がいらっしゃいます。

無症候性細菌尿に関しては、尿の細菌を倒すことは困難であることや合併症が非常に稀であることから一部を除き治療の適応はありません。

尿中NAG

尿中NAGとは尿検査の項目の一つで、腎臓の尿細管と呼ばれる箇所に異常があると異常値になります。

異常値の原因

主に、腎臓の尿細管と呼ばれる箇所に異常がでます。

尿細管に障害をきたす病気としては以下のようなものがあります。

  • 腎盂腎炎
  • Fanconi症候群
  • SLE
  • シェーグレン症候群
  • その他(抗生物質の影響、wilson症候群など)

日本内科学会誌より引用)

一方で、尿細管以外の糸球体と呼ばれる箇所の障害や腎血流が低下した時もこの値が上がることがあります。

また腎移植後の経過観察や、尿路感染の指標としても時折使われます。

対応方法

比較的早期発見に有効な検査である一方、尿細管ではなくその他の箇所に異常があったり、糖尿病があるときなども上昇するため、解釈には注意が必要です。

明らかにNAGが上がる原因がないにも関わらず、大きく上昇しているときにさらなる精査を行います。

 

β2マイクログロブリン

詳しい尿検査を行った時に調べる腎臓の検査です。

腎臓の尿細管と呼ばれるミネラルのやり取りを行う箇所に障害が出ていないかを確認する検査です。

特に尿細管の中でも近位尿細管と呼ばれる箇所の異常所見を捉えます。

異常値になる原因

β2マイクログロブリンが高いときは、主に尿細管に障害をきたす病気を疑って検査を行います。

尿細管に障害をきたす病気としては以下のようなものがあります。

  • 腎盂腎炎
  • Fanconi症候群
  • SLE
  • シェーグレン症候群
  • その他(抗生物質の影響、wilson症候群など)

一方で、尿細管以外の糸球体と呼ばれる箇所の障害や腎血流が低下した時もこの値が上がることがあります。

また、運動負荷、妊娠、年齢などでも上がります。

対応方法

状況によって異なりますが、少しの異常値では経過観察の方針となることが多いです。

一方で他の検査異常はないので、この検査値だけ明らかなに異常値のときは尿細管の異常を念頭に検査を進めていきます。

通常結晶

基本的には健康人からも検出されるため臨床的意義はあまりありません。

  • シュウ酸カルシウム結晶
  • 尿酸結晶
  • リン酸カルシウム結晶
  • リン酸アンモニウムマグネシウム結晶
  • 尿酸アンモニウム結晶
  • 炭酸カルシウム結晶

シュウ酸カルシウム

シュウ酸カルシウム結晶は、尿路結石の原因として最も多い石の成分ですが、健康な人の尿検査で認めるため、あまり臨床的意義はありません。

原因としてはシュウ酸を多く含むビタミンCを多く含まれる食物を食べると検出されます。

具体的には

  • トマト
  • ミカン
  • ほうれん草
  • アスパラガス
  • チョコレート など

対応方法としては健康な人でも見られるため基本的には経過観察でよいです。結石の症状がある場合や、結石になりやすい方は以下の対応をします。

  • 飲水
  • カルシウムをしっかりとる(制限は過去の治療)
  • シュウ酸を含む食品の制限
  • 食べ方の工夫(一緒にミルクを飲むなど)
  • バランスの良い食事 など

尿酸塩

尿酸塩とは尿酸に塩分が結合した状態のことをいいます。結石の原因となりますが、健康な人でも尿から尿酸が排出された時にできるためあまり臨床的意義はありません。

尿酸値が高い方は尿酸塩の有無にかかわらず結石が起きる可能性もあるので注意が必要です。

粘液糸

粘液糸は、尿路感染症などでみられる所見で、比較的病状が回復している時にみられます。

健康な人でも見られることも多く、明らかな症状が無い場合は経過観察で良いです。

円柱

硝子円柱

健康な人でも見られることが多く、基本的には経過観察でよいです。

顆粒円柱

持続的な腎炎、尿細管障害などを想起します。

上皮円柱

尿細管障害などを想起します。

脂肪円柱

ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症などが考えられます。

蝋様円柱

ネフローゼ症候群、腎不全、腎炎末期などを想起します。

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