赤羽もり内科・腎臓内科では泌尿器科の疾患である「尿路結石」の早期発見の診療を行っております。
緊急性がある場合や専門性の高い治療が必要な時は、近隣の泌尿器科の専門医が在籍する施設へご紹介させて頂きます。
尿路結石とは
尿路結石は、結石と呼ばれる石が尿管に詰まることで、激しい痛みや嘔気などが生じる病気です。
年々増えており、男性、女性ともに生涯が経験する確率は1割程度に上るとされています。
症状
主な症状としては以下のようなものがあります。
・激しい腰の痛み
・嘔気や嘔吐
・冷汗
・血尿
尿の通り道が塞がれることで、尿のうっ滞が生じて、尿が作られる腎臓に圧力が加わったり、尿管壁の過剰な動きによって激しい痛みが起きます。
尿路結石に感染が生じて、腎臓まで到達すると起きる腎盂腎炎では高熱も生じます。
結石を伴った腎盂腎炎は緊急の対応が必要になります。
検査
検査としては、尿検査やレントゲン・エコー・CTなどの画像検査を行います。
尿検査
尿検査で以下の項目をチェックします。
・細菌や白血球やリン酸マグネシウム結晶がないか
→感染か?
・シスチン結晶がないか
→シスチン尿症か?
・尿が酸性か
→尿酸結石か?
など
また結石があると、尿に血が混じることが多いのですが、結石と思いきやガンなどの悪性腫瘍の可能性が隠れていることもあるので注意が必要です。
画像検査
結石の存在、形態的な異常(尿のうっ滞の評価や腎臓の評価)が行えます。
レントゲン(KUB)
簡単に行えるのがメリットですが、尿酸結石、キサンチン結石、シスチン結石などレントゲンで映らないような結石もあります。
腹部エコー
簡単に行えるのがメリットです。結石の存在というよりは、尿の通り道が塞がれて腎臓に炎症が波及したりしていないかを確認する意味で有用な検査です。
CT
結石そのものを調べることが出来、診断能が高いのが特徴です。
治療
治療は「痛みに対する治療」と「結石に対する治療」で分けることができます。
痛みに対する治療
「痛みに対する治療」として、痛み止めの内服を行います。
例)
・NSAIDS(ロキソニン、ボルタレンなど)
・ペンタゾシン(ソセゴン)
・ブチルスコポラミン(ブスコパン)
即効性のある坐薬が好まれて使用されボルタレン坐薬はよく使用されます。
結石に対する治療
「結石に対する治療」は結石の大きさで異なります。
5mm以下の場合
基本的には、そのまま自然に排石される可能性が高いので経過をみます。
5-10mm以下の場合
石を出す排石促進療法(MET)を行うこともあります。
例)
・ウロカルン
・α1遮断薬(ハルナール、ユリーフなど)
・Ca拮抗薬
・猪苓湯
10mm以上の場合
自然に排石することは困難であり、結石を破砕する処置を行う必要があります。
・経皮的腎結石破砕術(PNL)
・体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
・経尿道的結石破砕術(TUL)
などがあります。
細かい点に関しては大きな病院の専門医に説明は委ねますが、結石を破砕するために背中の皮膚からアプローチするのか、尿道からアプローチするのか、衝撃波を使うのかの違いです。
上記の処置でも改善しないような場合は手術や尿管ステント留置術なども行います。
緊急の対応が必要な場合
尿路結石で以下の場合は緊急での対応が必要になります。
・結石で尿が詰まり細菌感染した時
・結石で尿が詰まり腎臓に障害が起きた時
このような場合に関しても近隣の大きな病院に紹介しております。
再発の予防
尿路結石は5年で50%再発すると言われております。そのため再発予防の治療も重要です。基本的には以下の4つが大切です。
2L以上の水分摂取
再発率を5-7割減らすことが出来ます。
肥満の防止
メタボリックシンドロームと尿管結石の関連があると考えられています。また生活習慣病との関連もあるので塩分制限、運動なども行います。
食生活の見直し
高シュウ酸尿症の人(一番多い)は、カルシウムをしっかり摂取して、コーヒーや烏龍茶、バナナ、ココア、チョコレート、ピーナッツ、アーモンドなどを控える。その他清涼飲料水、アルコールも控えると良いです
薬物療法
一例をあげます。
クエン酸製剤(ウラリットなど)
シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石で、24 時間尿検査などで高カルシウム尿、高尿酸尿、高シュウ酸尿、低クエン酸尿などがある際に、尿のアルカリ化をして再発予防のために使用します。PH7.5以上になると逆効果なのでPH6.0~7.0を目指します。
サイアザイド(フルイトランなど)
高カルシウム尿症を認める患者に検討します。
尿酸降下薬(ザイロリック、フェブリクなど)
尿酸結石、シュウ酸カルシウム結石などがあり、高尿酸血症がある時は尿酸を下げる薬を使用します。
チオプロニン(チオラ)
シスチン結石の場合に使用します。
その他
結石の成分として一番多いのがシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸カルシウム結石の場合、カルシウム製剤、マグネシウム製剤、クエン酸製剤を使用することが多いです。
その他尿酸結石、シスチン結石など様々な結石があります。中々難しい部分もありますが、もし結石を採取出来た時は検査にかけて成分を調べることが出来ます。
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