褐色細胞腫とは
カテコールアミンと呼ばれるホルモンを過剰に分泌する腫瘍の病気です。
副腎の腫瘍で起きるものを褐色細胞腫、副腎以外の腫瘍で起きるものをパラガングリオーマと呼びます。
転移の可能性があり、悪性腫瘍の内の一つで、遺伝性を40%程度の症例に認めます。
症状
カテコールアミン過剰により以下のような症状が起きます。
- 頭痛
- 動悸
- 発汗過多
- 顔面・上下肢の蒼白
- 発作性の高血圧
- 耐糖能異常 など
発作性の高血圧は、運動・ストレス・排便などで誘発されます。
診断
尿検査
随時尿で、尿中メタネフリン・ノルメタネフリンの測定を行います。この値が500ng/mgCr以上で高い場合は、次の検査に進みます。
24時間畜尿で、尿中メタネフリン・ノルメタネフリンの測定を行います。(その際は入院が必要なため専門医療機関にご紹介差し上げます。)この値が正常上限の3倍以上であることを確認します。
採血検査
採血検査で、血漿遊離メタネフリン・ノルメタネフリン濃度を行います。
ただし、採血検査は特異度85%程度であり、当院では原則採尿検査から行います。
高リスク群の場合(褐色細胞腫・パラガングリオーマの家族歴がある、MEN2の可能性がある、副腎偶発腫瘍があるなど)は最初から採血を行うこともあります。
誘発試験
グルカゴン、メトクロプラミドなどの薬剤を使用して、血圧の発作を誘発する方法です。
また血中ノルアドレナリンが高い場合は、クロニジン抑制試験という負荷試験が有用な場合があります。
当院では安全性の安全性の観点から行っておりません。
画像検査
CT、MRI、MIBGシンチグラフィなどの画像検査を行い、腫瘍の存在を確認することで診断をつけます。
ただし造影剤を使うことで、高血圧を誘発することがあるので注意が必要です。
治療
治療は手術と血圧コントロールです。
手術
根本的な治療として、腫瘍摘出を原則おこないます。
ただし悪性例では、腫瘍摘出後も経過観察を続ける必要があります。
血圧コントロール
α1遮断薬(カルデナリンなど)を使用します。
頻脈、不整脈の治療のためにβ遮断薬を併用することもありますが、α遮断薬が必ず投与されている必要があります。
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