脂質異常症と言われたらまず読んでほしい記事

赤羽もり内科・腎臓内科の院長の森 維久郎です。

このページは当院のかかりつけの患者様に向けた脂質異常症についての説明記事です。

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪が高い状態のことです。

以下の項目に異常があると指摘されます。

  • 悪玉コレステロール(LDL-C)
  • 善玉コレステロール(HDL-C)
  • 中性脂肪(TG)

LDLコレステロール

体の隅々の細胞にコレステロールを運ぶのがLDL-Cです。

このLDL-Cが大量にあると血管に必要以上にコレステロールを届けてしまい、血管の壁にプラークと呼ばれる油の塊がついたり、血管が細くなったり、血管の弾力性が低下します。

血栓のイラスト

この状態を長年放置しておくと将来的に心筋梗塞、脳梗塞などになる可能性高くなります。

積もり積もった動脈硬化は基本的に一度起きると改善しないので早めに治療をするのが望ましいです。

HDLコレステロール

一方で、血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶのがHDL-Cです。

先ほどのLDL-Cの役割が「運搬」なら、HDL-Cの役割は「回収」です。

中性脂肪

中性脂肪は正常の量であれば、必要なエネルギー源、体の保温の役割を担います。

ただしこの中性脂肪が増えると肥満、糖尿病などの原因になり、心臓・脳の病気のリスクが増えます。

脂質異常症の症状

脂質異常症には症状が全くありません。

症状がないまま数十年が経ち、動脈硬化が進行して脳や心臓に病気を引き起こします。

脂質異常症の原因

脂質異常症の原因として、以下のようなものがあります。

  • 運動不足
  • 食生活の乱れ
  • 遺伝性
  • 背景に何らかの病気がある など

これらの原因を特定するために診察・検査を行います。

脂質異常症の検査

当院を受診頂いた後は、問診、採血検査を行います。

問診

まず以下のような問診をさせて頂きます。

  • 食生活
  • 運動習慣
  • いつから異常を指摘されているか
  • 家族にコレステロールが高いひとがいるか
  • 家族で心筋梗塞になっているひとはいるか
  • 更年期
  • 最近元気がでなかったりするか

などを伺います。生活習慣だけでなく、遺伝や甲状腺という他の臓器に関与がないかを検討するためです。

初診時に行う検査

初診時には、現状の脂質の状態や、背景に何らかの病気がないかの確認を行います。

必要に応じて、動脈硬化の現状も評価します。

採血検査

  • 脂質の再評価(LDL-C、HDL-C、中性脂肪)
  • 甲状腺の評価
  • 糖尿病や肝臓の評価

動脈硬化の評価

  • 血圧・脈波
  • 頸動脈エコー

当院では頸動脈エコーに関しては、大きな病院にご紹介をさせて頂く方針としております。

脂質異常症の診断

診断基準は以下のようになっています。

動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症のエッセンスより

採血(特に中性脂肪)は基本的に空腹時に行うと良いと言われています。

ただし近年、中性脂肪の値が食後に上がる場合も動脈硬化のリスクがあると言われているので、指標の一つとして食後の採血を行うこともあります。

脂質異常症の治療

問診、採血検査の結果をみて原因を特定して、基づいて治療を行います。

特にLDL-Cは「The lower is the better(低ければ低い程良い)」と呼ばれており、積極的に下げることが推奨されています。

具体的な数値の基準についてはこちらでまとめましたのでご参照ください。

 

生活習慣の改善

肥満や運動不足など明らかな生活習慣での改善点がある時は、「食事」・「運動」の治療から始めます。

目安として体重を5%ほど減量を目標とし、例えば60kgの人であれば3kgの減量を目標にしてもらっています。

その後、数ヶ月後に採血検査をもう一度行なってLDL-Cの値をみて改善するかを観察します。

ただしコレストロールの場合、遺伝や年齢などの影響も受けるため生活習慣の改善をしても中々改善しないこともあります。その場合は薬物治療を提案することもあります。

当院で生活習慣の改善の治療をされる場合は、減量のプログラムや管理栄養士による栄養相談を受けて頂きます。

薬物療法

生活習慣の改善が難しい場合や生活習慣の改善をしてもあまり改善が見られない時は、薬を使用します。

当院ではスタチン、エゼチミブ、フィブラート系をよくつかっています。

スタチン

スタチンは世界中で使われているコレステロールを下げる薬で、科学的信頼性の高いお薬です。

肝臓で合成されるコレステロールを減らすことでコレステロールを減らします。

副作用に関しては、

  • 筋肉の障害
  • 肝臓の障害

が有名です。

一時的なものが多かったり、休薬する程の副作用が出る頻度は少ないですが、念のため当院では投薬後2週間後に採血を行っています。

このスタチンと呼ばれるお薬の中には様々なタイプのお薬があるので、お薬を飲んで筋肉痛がある、なんか調子が悪いなどの症状があれば変更するので遠慮なくご相談ください。

スタチンの種類として以下のようなものがあります。

  • メバロチン(プラバスタチン)
  • リボバス(シンバスタチン)
  • ローコール(フルバスタチン)
  • リピトール(アトルバスタチン)
  • リバロ(ピタバスタチン)
  • クレストール(ロスバスタチン)

エゼチミブ

スタチンとは異なり、腸でのコレステロールの吸収を抑える作用のある薬です。

スタチンで下がりきらない場合や、スタチンで副作用が出た時に良く使用します。

ただし、エゼチミブを使うと肝臓でのコレステロール合成が増えてしまうので可能な限りスタチンとの併用が望ましいです。

副作用は比較的少ない薬です。

例)

  • ゼチーア(エゼチミブ)

レジン(陰イオン交換樹脂)

昔はよく使用されていたお薬で、腸でのコレステロールを吸収するお薬です。

現在でも肥満を伴う脂質異常症に使われることもありますが、他の薬との兼ね合い、ビタミンや葉酸の吸収の阻害など様々な留意点があり、便秘症状に悩むこともありあまり使用されなくなりました。

例)

  • コレスチミド(コレバイン)
  • クエストラン(コレスチラミン) など

当院ではあまり使用していません。

フィブラート

中性脂肪に対して効果的な薬です。

尿酸も下げる効果があります。

ただし腎機能障害がある患者さんに使用するときは横紋筋融解症という筋肉の障害につながる可能性があるので注意が必要です。

例)

  • ベザトールSR(ベザフィブラート)
  • リピディル、トライコア(フェノフィブラート)
  • パルモディア(ペマフィブラート)

ニコチン酸誘導体

LDL-C、中性脂肪に対して効果がある薬です。

HDL-Cを増やす効果もあります。

掻痒感、顔面潮紅や、糖尿病の悪化につながる可能性があるので注意で必要です。

例)

  • ユベラ(トコフェロール)
  • コレキサミン(ニコモール)

多価不飽和脂肪酸

魚に油に含まれるオメガ3脂肪酸などを使用した薬です。

中性脂肪に対して使われると同時にHDL-Cを増やす効果もあります。

一部市販のサプリメントでも販売されています。

例)

  • エパデール(イコサペント酸エチル)
  • ロトリガ(オメガ-3脂肪酸エチル)

ここ数年注目されていたオメガ3脂肪酸ですが、2020年11月に大規模臨床研究であまり良い効果が得られなかったため、当院からはあまり処方していません。

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