前立腺肥大症

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)とは、前立腺という男性にある精子に栄養を与えたり、保護する役割の臓器が年齢とともに大きくなり、尿の通り道を圧迫する病気です。

症状としては、

  • トイレが近い
  • 夜にトイレで何度も起きる
  • 尿の出が悪い
  • 残尿感がある
  • 尿が細い など

の排尿障害の症状が出ます。

原因

前立腺肥大症の原因としては、年齢が大きな要素を占め、50代くらいから前立腺肥大症になる患者さんが多くなります。

尚、もともと前立腺肥大症がある方で、以下のような薬の影響で症状がでることもあります。

  • 総合感冒薬
  • 抗ヒスタミン薬
  • β作動薬
  • 三環系抗うつ薬
  • 抗不整脈薬 など

抗コリン作用のある薬剤、交感神経作用がある薬剤はいずれも尿閉を誘発するリスクがあるので注意が必要です。

診断

前立腺肥大症の診断は、問診、特別な問診票(IPSS、OABSS、CLSSなど)、身体所見、採血、採尿、エコー検査などを使って行っていきます。

前立腺肥大症の厳密な診断のためには膀胱尿道内視鏡、尿流動体検査などが必要になることもありますが、実臨床としてはそこまでの精査をすることは少ないです。

特に大切なのはIPSSというスコアリングです。詳しくはこちらのサイトをご参照ください。

● IPSSが7点以下の時

経過観察で問題はなく、以下の生活習慣の改善をして頂きます。

  • 夜間の水分を控える
  • 便秘の治療を行う
  • 背景疾患の治療 など

● IPSSが8点以上の時

明らかな多尿がない場合は、以下の治療を行います。

また、前立腺癌の除外のために血液検査などを行う時もあります。

治療

前立腺肥大症の治療の目標は、QOLを上げることです。治療は主に行動療法、薬物療法、手術療法に分かれます。

● 行動療法

行動療法として、

  • 膀胱訓練
  • 水分摂取の適正化
  • 排尿日誌の記載 など

を行います。

● 薬物療法

薬物療法としてはα1遮断薬、PDE5阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、コリン類似薬、5α還元酵素阻害薬、抗アンドロゲン薬、漢方など様々な種類に薬剤があります。

主にガイドラインで推奨されているのは、以下の3つであり当院でもこの3つを優先的に使用しています。

  • α1遮断薬
  • PDE5阻害薬
  • 5α還元酵素阻害薬

α1遮断薬

α1遮断薬は、尿道を拡げる効果と、膀胱・尿管などの下部尿路の血流改善効果があります。

当院でよく使う薬は以下のようなものです。

  • ハルナール(タムスロシン)0.2 mg/回 1日1回
  • フリバス(ナフトピジル)25-75 mg/回 1日1回
  • ユリーフ(シロドシン)4 mg/回 1日2回

この3つ薬にも多少の違いがあり、人によって合う合わないがあります。

そのため一つ薬を飲んでみて効果がイマイチだった場合でも別の薬に変更することで大きな効果が得られることがあります。

当院では目安として以下のようなパターン分けをして使っています。

●ハルナール:フリバスとユリーフの間の立場の薬です。比較的血圧を下げる作用もあるので血圧が低い方には使わないようにしています。

●フリバス:膀胱に作用するため、夜間の頻尿など膀胱の刺激症状が強い場合に使います。

●ユリーフ:ハルナールに比べて血圧を下げずらいお薬です。ただし射精障害が起きることがあるのでその際は主治医に教えてください。

5α還元酵素阻害薬

5α還元酵素阻害薬とは、ジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンを抑えるお薬です。

前立腺肥大症の患者さんでは前立腺の容積を小さくする効果が期待でき、前立腺が30ml以上と大きい場合は積極的に使用します。

ただし即効性はなく、4-6か月ぐらい効果がでるのに時間がかかるので先ほどのα1遮断薬と併用することで治療します。

例)

  • アボルブ(デュタステリド)0.5mg 1日1回

ただし薬の副作用として以下のようなものがあるので注意が必要です。

  • 性欲減退
  • 射精障害
  • 性腺機能障害 など

ちなみにアボルブと同じ作用のあるザガーロというお薬やプロペシアと呼ばれるお薬はAGAの治療としても使用されています。

プロペシアは前立腺肥大症への効果はあるのですが、日本では男性の脱毛症に対してのみ使用可能です。

  • ザガーロ(デュラステリド)0.1mg 1日1回 0.5mgまで増量可能
  • プロペシア(フィナステリド)0.2mg 1日1回 1mgまで増量可能

*プロぺシア1mg/日とザガーロ0.1mg/日がおおよそ同じ効果があります。

AGAについては当院では行っておらず、自費診療で提供している医療機関をご紹介させて頂いております。

PDE5阻害薬

PDE5阻害薬とは一酸化窒素と呼ばれる前立腺や尿道の平滑筋を緩める作用のある物質を増強する前立腺肥大症の治療薬です。

α1遮断薬と同等の効果があると言われており、併用することでさらに効果が得られます。日本で適応があるのはザルティアと呼ばれる薬のみです。

  • ザルティア5mg 1日1回

副作用として以下のようなものがあります。

  • 低血圧
  • 顔のほてり
  • 頭痛 など

一方で心臓の病気などがあるときは投与することはできません。

その他

●コリンエステラーゼ阻害薬、コリン類似薬

PDE阻害薬に加えてコリンエステラーゼ阻害薬、コリン類似薬を追加して尿の排泄力を増強させることもあります。

  • ウブレチド錠 5mg 1回1錠
  • ベサコリン 7.5-12.5mg/回 1日3~4回

●その他

  • プロスタール25mg 1錠/回 1日2回
  • パーセリン25mg 1錠/回 1日2回
  • エビプロスタット配合錠 1錠/回 1日3回
  • セルニルトン錠 2錠/回 1日2-3回
  • パラプロスト配合カプセル 2カプセル/回 1日3回
  • ツムラ八味地黄丸2.5g 1日3回
  • ツムラ牛車腎気丸2.5g 1日3回

当院では軽症であれば、副作用の少ないエビプロスタットという植物エキスを配合した薬を使うことがあります。

● 手術療法

手術療法は、中等症以上で、手術に耐えられる体力のある場合は有効的だとされています。手術が必要な場合は近隣の専門施設にご紹介をさせて頂きます。

 

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