気管支喘息

当院ではかかりつけの患者に限定して喘息の治療を行っています。

気管支喘息とは

気管支喘息とは、気管支という空気の通り道に慢性的に炎症が起きて、様々な刺激に対して敏感になり発作的に気道が狭くする事を繰り返す病気です。

症状として、発作性のヒューヒューした喘鳴、呼吸困難、咳などを認めます。

日本人の10%程度が喘息であり子供〜大人に幅広い年代で認める病気です。

念のため定義として、気管支喘息は「気道の慢性炎症を本態とし、臨床症状として変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患」となっています。(日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン」)

診断

診断は以下の3つで診断します。

  1. 典型的な症状があること
  2. 可逆性の気流制限があること
  3. 他の疾患が除外されること

診断の目安として、下記の6項目が大切です。

  1. 発作性の呼吸困難、喘鳴、咳の反復、症状が夜間もしくは早朝に出現する
  2. 可逆性の気流制限
  3. 他の疾患の除外
  4. 気道過敏性の亢進、運動、気道感染症、アレルギー、気象変化、精神的ストレス、月経などで症状が悪化
  5. アトピー素因
  6. 気道炎症の存在

聴診でWheezeという特徴的な呼吸音があります。

また吸入薬を吸うと、症状がよくなる(可逆性がある)のも特徴的で、診断的治療になることもあります。

検査

検査としては、肺の状態を調べる呼吸機能検査をまず行い、その後喘息以外の原因がないかを確認するために胸部レントゲン、胸部CTなどを行います。

発熱、痰などの咳以外の症状などがある場合は適宜診察、採血検査なども行います。

更に専門的な検査が必要な場合は一度呼吸器内科専門施設への紹介を行なっております。

区別すべき病気

喘息と鑑別な疾患として、気道疾患、気管支〜肺胞領域疾患、心臓疾患、薬剤、アレルギーの関与が考えられます。詳しくは下記に記します。

上気道の病気

喉頭炎、喉頭蓋炎、気管内腫瘍、気道異物、気管軟化症、気管支結核、サルコイドーシスなど

気管支~肺胞領域の病気

COPD、びまん性汎細気管支炎、肺線維症、 過敏性肺炎など

心臓の病気

うっ血性心不全、肺血栓塞栓症など

くすりの影響

ACE-I阻害薬など

アレルギーの病気

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、 アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)、好酸球性肺炎など

治療

治療の目標は「日常生活をしっかりおくれるようにすること」です。喘息の重症度を評価して必要に合わせておくすりを使用します。

薬の基本は、以下の2種類の吸入薬です。

  • 吸入ステロイド薬(ICS)
  • 吸入長時間作用型β2刺激薬(LABA)

その他長時間作用型抗コリン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、オマリズマブなどを適宜追加投与します。

吸入薬

喘息治療の基本となるのは吸入薬です。

吸入薬にはドライパウダー、エアゾールという2つのタイプがあります。

目安としてご自身でしっかり吸入できるような方はドライパウダー、吸入力に不安があるお年寄りや子供はエアゾールと使いわけをします。

吸入薬には炎症を抑えるステロイドが入ったICSと呼ばれるものと、気道を広げて空気の通りを良くするLABAというものがあります。

現在はこのICSとLABAが両方入っている吸入薬を基本として使います。

ICS+LABA

LABAは気道を拡げる効果があり、喘息による息苦しさを和らげたり、ステロイドが気道に届きやすくする効果があります。

ICSとLABAが両方入った薬には以下のようなものがあります。

  • アドエア(ドライパウダー、エアゾール両方あり)
  • シムビコート(ドライパウダーのみ)
  • レルベア(ドライパウダーのみ)
  • フルティフォーム(エアゾールのみ)

長時間作用型抗コリン薬(LAMA)

ICS+LABAでコントロールがつかない重症な喘息の時には、LAMAと呼ばれる吸入薬を使います。

薬の名前でスピリーバと呼ばれるものを使いますが、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症がある方は禁忌です。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

内服としてはロイコトリエン拮抗薬と呼ばれる薬を使います。

アレルギー性鼻炎合併喘息、運動誘発喘息、アスピリン喘息患者の管理において使用されるおくすりです。

副作用が少なくて、使用しやすい薬です。

以下のようなお薬が該当します。

  • シングレア
  • オノン
  • キプレス など

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